6月研究発表会

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6月定例会(兵庫県立大学/研究発表)事業報告

日時  2005年(平成17年)6月17日(金) 14:00~17:00                   
場所 姫路商工会議所本館 602・603
参加数 101名

★第1分科会(602号)・・・・・所要時間 55分(内質疑応答時間 10分)
  
テーマ
①電子ホログラフィによる3次元カラー動画像の記録と再生 佐藤助教授
②環境低負荷ガラスの開発                矢澤教授
③Webと放送コンテンツによる次世代情報メディア     角谷教授

今回の第1分科会研究発表会は、工学研究科から佐藤先生、矢澤先生を、環境人間学部から角谷先生をお招きし、近未来の3次元映像、環境にやさしいガラスの開発、次世代の情報メディアなどを発表して頂きました。以下、研究発表内容は次の通りです。

①電子ホログラフィによる3次元カラー動画像の記録と再生
 大学院工学研究科 電気系工学専攻助教授 佐藤邦弘先生

我々は3次元空間で生活しており、視覚を通じて実物体を認識することができる。
映像技術は実物体から得られる視覚情報を記録して再生する技術であり、3次元の空間や物体を表現する3次元画像技術の確立が映像技術の今後の大きな目標となっている。その中でホログラフィは、3次元物体からの散乱光を正確に記録して再生することができる唯一の知られた技術であり、人の生理的立体感を満たす究極の3次元画像技術として期待されているそうです。
今回の研究発表は、波としての光の性質を利用したホログラフィを有効に活用し、カラー3次元動画像の記録から再生までの技術を確立して、3次元カラー画像を記録するシステムと3次元カラー動画像を再生するシステムを実際に開発したシステムを用いて実演をして頂きました。最終的な目標は、ホログラフィックテレビジョンの実用化みたいですが、一日も早く3次元カラー動画像の映像を見たいものです。楽しみにしています。

②環境低負荷ガラスの開発
 大学院工学研究科物質系工学専攻教授 矢澤哲夫先生

ガラスは年間に約450万トンの生産量を有する素材ですが、リサイクル社会並びに環境重視社会において、着色ガラスはリサイクルが困難なため放置されているのが現状で、大きな環境問題を引き起こしています。1年間に生産されているガラス瓶177万トンの内、半数以上は着色瓶であり、建築・自動車用の着色ガラスが年間37万トン生産されているが、その殆どが廃棄されている。着色ガラスの製造は、金属イオンで着色するため、一度生産したガラスは色を変えることができず、透明なガラスにするには、さらに多量の原材料や熱エネルギーを必要とし、分別回収にコストと手間が掛るのが現状です。今回の研究発表は、透明なガラスを紫外レーザ光やX線などの高エネルギー電磁波を用いて簡易に着色し、またこうして着色されたガラスは、200℃以上に加熱することにより簡易に脱色する研究内容であり、私自身未知の分野ですが、非常に解りやすく勉強になりました。

③Webと放送コンテンツによる次世代情報メディア
 環境人間学部環境情報コース教授 角谷和俊先生

現在、メディアの多様化により種々のコンテンツを統合的に活用する技術が求められています。近年DVDなどのデジタルビデオレコーダ(DVR)が急速に普及し数百時間の録画が可能なデジタルビデオでは、使用形態も徐々に変化しつつあります。今後は、放送映像の蓄積に加えて、大容量の映像アーカイブから、ネットワーク経由で映像コンテンツを受信する可能性も有るようです。
今回の研究発表は、Webコンテンツと映像を融合した次世代情報メディアシステムについて、Webをテレビ的に視聴する実演、テレビをWeb的に閲覧する実演をして頂きました。内容は現在視聴中の番組に関係する情報、例えば必要とするアイテムの文化、生活、歴史など、さまざまな情報を閲覧でき、また、数十時間の録画の中から必要とする視聴番組が一目で分かるなど、まさに今の時代に要求される内容でありました。市販されれば直ぐにでも欲しい商品ですが、先生によれば世に出るには5年~10年掛るそうです。

以上、3名の先生方の研究内容ですが、先生方のシステム実演画像並びに解り易い説明と、身近に私たちの生活にマッチした内容であった為、参加者の活発な質問も多く、有意義に研究発表会を終了しました。
今後の先生方の御成功と御活躍を心からお祈り致します。(報告者:石井企画委員)
★第Ⅱ分科会(603号)・・・・・所要時間 55分(内質疑応答時間 10分)

テーマ
①化学の方法で遺伝子の配列の違いを見分ける       山名教授 
②ユビキタス情報社会に向けた遠隔看護支援システムの開発 東助教授 
③植物による癒し「園芸療法」              浅野教授

①化学の方法で遺伝子の配列の違いを見分ける  
 大学院工学研究科 物質系工学専攻教授 山名一成先生

個々人の遺伝子情報に応じた、いわゆる「テーラーメード」医療の実現やゲノム創薬とに関して、特定の遺伝子を厳密に識別して見分けることは極めて重要です。
山名先生の研究グループは、純化学的な方法を用いて遺伝子の中のたった一つの配列の違いを見分けることに成功しました。 DNAチップなどの市場はスタートしたばかりですが、20年後は、巨大な市場となることが予想され、各社研究開発にしのぎを削っておられる現状が理解できました。

②ユビキタス情報社会に向けた遠隔看護支援システムの開発  
 大学院応用情報科学研究科助教授 東ますみ先生 

いつでも、どこでも、だれでも」コンピュータ・ネットを通じて情報を入手したり、
サービスを受けたりする「ユビキタス情報社会」(ユビキタス:ラテン語を起源)が到来しています。 在宅型医療を支援するために、そのネットワークを利用した遠隔看護システムについて、開発の経緯などをお話頂きました。企業が「ユビキタス健康安心システム」として、実際に糖尿病患者をサポートし、データやメールのやりとり・食事内容へのサポートなどによって、血糖値が低下した事例もあるそうです。 
医療と看護の連携サポートがなければ、大きな成果を生むことはできないと言われており、また法規の問題など、高いハードルがありますが、患者にやさしいシステムが早期に構築されることを望みます。

③植物による癒し「園芸療法」 
 自然・環境科学研究所・県立淡路景観園芸学校兼務 教授 浅野房世先生

『園芸療法は、「園芸」をあきらめている人を対象に、植物の時間に身をゆだねさせ、心身の改善を図らせていく方法。実際にガーデニングで元気になったなど、自発的に作業できる人の場合は、単なる「園芸」にすぎません。』 この言葉で、改めて「療法」の言葉の意味を再認識しました。 また収穫したものを「シェアリングする」という共通の喜びを得ることは、「園芸」しか存在しないこともお話されておられました。
実際にこの「園芸療法」を進めていく上で、どういう材料・システム構築が必要かもご提案があり、園芸からみた産学連携についてもお話頂けたことは、当会員にとって非常に有意義な時間となりました。

「総括」

 今回は、~時代の流れがチャンスを創ります~ と題し、ジャンル不問で、最新の研究を活発に推進されていらっしゃる講師の先生をお招き致しました。
聴講者側には 「新たな目」で大学研究を見つめるきっかけになったのでは?と思います。
講演の先生方には、種々、当方の依頼事項に対し、快くご対応頂き、この場を借りて御礼申し上げます。

以上(報告者:後藤企画委員)

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